2015年11月15日

2015.12.12(土) 医療事故110番を行います!


 自身や家族の医療に関して、「事故」ではなかったのかという疑問を持ったまま、どこにも相談できずに抱えている方が多くおられます。

 そんな方々のための相談窓口として、私たち九州・山口医療問題研究会では、定期的な無料面談相談を行っておりますが、この相談窓口を広く知っていただく機会として、毎年12月に「医療事故110番」を開催し、電話による一斉相談受付をおこなっています。

 今年は12月12日(土)10時〜15時で電話を受け付けます。

 福岡弁護団では地域ごとに3つの相談窓口を設けました。

   福岡 092(641)2007
  北九州 093(591)9339
 筑後 0942(35)3036
 ※いずれも当日のみ有効な番号です。
 ※当日は弁護士が電話で概要をうかがい、後日無料の面談相談を行います。

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  全国的には2年に1度、名古屋に事務局があります医療事故情報センターの呼びかけで同様の一斉相談受付を行っており、今年は九州・山口だけでなく全国的にも一斉相談受付がなされます。

  全国の相談窓口は次のとおりです。

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  現在、医療基本法の制定に向けた取り組み、産科医療保障制度、そして、今年の10月1日よりスタートしたばかりの医療法に基づく新しい医療事故調査制度など、医療事故の経験を貴重な資源として事後的に検証し、将来の安全でよりよい医療を作っていくための参考にしようという取り組みが始まっています。

  あなたの声が、医療を改善する一歩になるかもしれません。

  どうぞお気軽にお電話ください!

(緒方 枝里)
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2015年09月29日

医療講座 患者安全と医療事故調査


 直前のご案内となってしまいました。

 添付のチラシのとおり、九州・山口医療問題研究会とNPO法人患者の権利オンブズマンの主催で、「医療講座 患者安全と医療事故調査 〜事故の再発を防止し、患者の安全を〜」を開催します。

 10月より、いよいよ法律上の制度としての医療事故調査制度が始まります。その意義、問題点、あるべき運用などを、この問題について長く関わってきた第一人者、木下正一郎弁護士に分かりやすく講演いただきます。

 ぜひふるってご参加ください。

  日時:平成27年10月3日(土)14〜17時
  場所:福岡市中央区天神2−12−1
       天神ビル11階9号会議室

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(管理人)
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2015年01月24日

市民大学「子宮頸がんワクチンに関する本当のQ&A」開催のお知らせ

直前のご案内になってしまいましたが、明日、NPO法人患者の権利オンブズマン主催、九州・山口医療問題研究会も共催している市民大学「子宮頸がんワクチンに関する本当のQ&A」を開催します。

みなさん、HPV(子宮頸がん)ワクチンってご存知ですか?
子宮頸がんの原因になりうるHPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスの感染を予防するためのワクチンのことです。

このワクチンが導入され、公費助成で無償で受けられるようになり、たくさんの女子中学生が接種を受けましたが、いま、全国各地でワクチン接種後に深刻な被害が出たという報告があがっています。
全身の激しい疼痛、けいれん、不随意運動のほか、記憶が失われて家族の顔がわからなくなる、簡単な計算もできなくなるなど高次脳機能障害の症状が出ている場合もあり、ワクチン接種後に少女たちにあらわれた被害は実に多様です。
被害者たちの訴えで、国は現在、ワクチン接種の積極的勧奨を一時中止していますが、十分な調査もできていないのに勧奨を再開するべきだという声もあります。

ワクチンの何が問題なのか、具体的にどんな被害が起こっているのかを知るために、この問題に造詣の深い
弁護士・薬害オンブズパースン会議事務局長の水口真寿美さんを講師にお招きし、ご講演いただきます。

外は寒いし、世間ではインフルエンザが大流行中。休日は家の中に閉じこもりがちになってしまう方も多いかと思いますが、HPVワクチンの問題は女子中学生が身近にいる人にとってはもちろん、将来自分の子どもや孫が予防接種を受けるかもしれない私たちみんなの問題です。

HPVワクチンの抱える本当の問題と被害の実態を学び、どう行動すべきか一緒に考えてみませんか?

ぜひ、多くのみなさまの参加をお待ちしています。

    記

日 時:2015年1月25日(日)午後1時〜4時
   ★受付開始 12時30分

場 所:天神チクモクビル 5階大ホール
   (福岡市中央区天神3−10−27/「那の津口」交差点のすぐそば)

参加費:一般 1,000円
    患者の権利オンブズマンの会員 500円
    中・高・大学生 300円

事前申し込み不要

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(緒方枝里)
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2014年11月20日

医療事故110番・北九州、筑後窓口も設置します


 先日、医療事故110番のご案内をしておりました。この110番は、従来、福岡における窓口のみで行っていましたが、今年は、北九州、筑後にも窓口を設置いたします。

  12月6日(土)午前10時〜午後3時
   福 岡:092(641)2007
   北九州:093(591)9339
   筑 後:0942(35)6055
       ※筑後は午後2時まで

 ご自身がお住まいの地域の弁護士にご相談したいという方、ぜひお電話下さい。

(管理人)
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2014年11月15日

医療事故110番開催のご案内


 全国の医療問題に取り組んでいる弁護士団体等は、2年に1度、12月に医療事故110番を開催しています。

 九州・山口医療問題研究会では、全国での開催がない隔年は、当会独自で110番を実施し、毎年開催としています。

 今年も、12月6日(土)10:00〜15:00、医療事故110番を開催いたします。

 092(641)2007 にお架けいただくと、当会所属の弁護士が応対いたします。この日はひとまず概要のみお聞きし、詳細については後日無料の面談相談を設定いたします。

 ご自身やご家族等の医療について、事故ではなかったかと疑問をお持ちの方、どうぞお気軽にお電話下さい。

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(管理人)
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2014年07月23日

市民大学 〜ココロもカラダも支えるかんわケア〜人生最後まで自分らしく生き抜く〜 に参加して

1 はじめに
 2014年2月8日、たたらリハビリテーション病院をお借りして、患者の権利オンブズマンとの共催で開催された市民大学〜ココロもカラダも支えるかんわケア〜人生最後まで自分らしく生き抜く〜に参加してきました。
 私を含めて約30名の市民の方々の参加がありました。

2 第1部 平田病院長ご講演「緩和ケア紹介〜自分らしく生きていくこととは〜」
(1)緩和ケアとは
 第1部は病院長の平田済先生から緩和ケア紹介〜自分らしく生きていくこととは〜と題してご講演をいただきました。
 まず、そもそも緩和ケアとは何かについてのご説明がありました。
 WHOの定義では、「緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、疾患の早期より痛み、身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題に関してきちんとした評価をおこない、それが障害とならないように予防したり対処したりすることで、QOLを改善するためのアプローチである」とされています。
 この定義の中でまず注目すべきは、緩和ケアの対象が身体的な痛みに限られないということではないでしょうか。
 がん患者の苦痛は多面的であって、精神的苦痛(不安、いらだち、うつ状態)、社会的苦痛(経済的な問題、仕事上の問題、家庭内の問題)、さらにはスピリチュアルな苦痛(生きる意味への問い、死への恐怖、自責の念)などの全人的苦痛を伴うものです。
 そこで、緩和医療においては、これらの身体的苦痛以外の苦痛に対する支援も行い、最後まで患者が人生を積極的に生きていけるように支えることまでもその内容とされているとのことでした。

 次に、緩和ケアが「疾患の早期」から行うとされていることも発見でした。
 緩和ケアというと、どうしても、がん等の疼痛の強い疾患の末期で治癒不能の場合のみ施されるものと考えがちですが、現在では疾患の早期から実施することもあるそうです。多くの医師や患者が麻薬に対する誤ったイメージ(中毒になるのではないか、寿命が縮まるのではないか、よく生きるためではなく楽に生きるための手段と感じる等)を持っていて使用に抵抗を覚えることが多いとのことですが、これらはどうも根拠のない先入観のようです。

(2)たたらリハビリテーション病院のとりくみ
 次に、たたらリハビリテーション病院の緩和ケア病棟で特に力を入れてらっしゃるとりくみについてご紹介いただきました。
 まず、住み慣れた我が家で過ごしたいという気持ちを尊重し、患者や家族からの希望があれば在宅で治療が受けられるよう、状態に合わせて退院、外泊、外出などのサポートを行っているとのことでした。
また、月1回の病棟行事や毎週火曜日の「季節の会」など患者や家族が参加できる行事を開催して、アットホームな温かさを提供されているとのことです。
 音楽療法士の方や、ドッグセラピー、芸術学校の学生などがボランティアとして参加し、これらの活動を支えられているとのことでした。
 そして、特筆すべきは、緩和ケアにおいてもリハビリテーションを実施しておられることです。
 リハビリテーションは、肉体的な動きを改善し、生活の質を向上させるためのものであり、苦痛の緩和とは関係が薄いようにも思われます。それだけでなく、残念ながら健康なころの日常生活を取り戻す可能性がほぼない患者については、リハビリは不要でないかとも思えます。実際、緩和ケア病棟でリハビリテーションを行っている医療機関は非常に限られるのではないでしょうか。
 しかし、日常生活動作ができなくなっていく、ということは単に日常生活に支障を来すというだけでなく、その患者の大切な自尊心を奪うものであろうことは想像に難くありません。場合によっては、死に向かっている、ということが実感され、不安や恐怖を募らせるきっかけになることもあるのではないでしょうか。そこで、たたらリハビリテーション病院では、緩和ケア、すなわち全人的苦痛に対する治療の一貫としてリハビリテーションを実施し、日常生活動作の改善・維持に努めておられるとのことでした。

(3)スピリチュアルケア
 緩和ケア病棟の課題についてもいくつかお話がありましたが、その中で印象に残ったのはスピリチュアルケアについてのお話でした。
 スピリチュアルケアとは、時間が限られる苦痛(死へむかうこと)、関係を失う苦痛(家族に迷惑をかける、孤独)、自分でできなくなる苦痛(排泄、歩行etc.)などの苦痛に対するケアを行うことです。
 実際の患者とのやりとりを題材にどのような形でスピリチュアルな苦痛に対するケアをされるかをご紹介いただきました。
 プライバシーに関わるのであまり具体的なことがご報告できないのが残念ですが、がんが進行して動けなくなり、さらに別の疾患で視力が低下して本も読めなくなった年配の患者から生きていても苦しいだけなので死にたいと訴えられたとき、その気持ちにどう寄り添い、どう導いたのか、あるいは、実際にはこれ以上の治療が困難だが治療を継続したいという気持ちが捨てきれず、いらいらして不満や怒りを周囲にぶつけてしまう患者に今後の治療の可能性はないことを伝える際、どのようなやりとりをされたかについて、そのときのご経験を語っていただきました。そのいずれについても、これが正解だ、という形ではなく、先生自身の悩みや迷いも含めてご紹介いただき、スピリチュアルケアの奥深さ・困難さを垣間見ることができました。
 自分自身の間近い「死」を現実的なものとして突きつけられる苦痛がどれほどのものかということは想像もつきません。ましてや、その苦痛をどのような形で感じるのか、どうやってそれと向き合おうとするのか(あるいは、そこから逃れようとするのか)はそれこそ人それぞれで、これをすればよい、というマニュアルがあるわけではありません。対応を間違えば、苦痛を深めてしまうこともあるかもしれない・・・。それでも、その困難なケアに取り組まれるたたらリハビリテーション病院の方々には頭が下がる思いです。
 先生がスピリチュアルケアの際の指針にされている言葉があるそうです。

「失ったものを数えるな、残ったものを数えよ。悲しみはやがてやってくる、だから今日を楽しむ。」

 この言葉を、医師、看護師、患者でどれだけ共有できるかがスピリチュアルケアにおいては大切であると考えておられるとのことでした。

(4)緩和ケア病棟で働くということ
 「死」を間近にした患者さんと常に接して仕事をするというのは、さぞかし精神的につらいお仕事なのではないかと想像してしまいます。
 しかし、必ずしもそうではない、ということを先生は2つの文章を通して語られました。
 1つは、心理療法士としてターミナルケアに関わるマリード・エヌゼル氏の著書「死にゆく人たちと共にいて」の「人生の終末を生きる人たちと共に歩んで、私は死そのものをより多く知るようになったわけではない。おそらく私は、自分の人生に与えられた喜びや悲しみだけでなく、息をしたり、歩いたりというごく当たり前のこと、日常のちょっとした出来事のすべてまでも、些細なところまで意識し、より濃密に経験しているのだ。」という一節。
 もう1つは、たたらリハビリテーション病院の看護師さんが書かれた「この病棟に来て一番自分が変わったことは、自分の家族を大事にするようになったことです。自分は人としてどのように生き、看護師としてどうありたいかを考える機会を、患者さんやご家族から与えていただいていると感謝し、今後も日々成長し、寄り添う看護を目指します。」という職場紹介の文章。
 「まさにこのとおりなんです。」と先生は言われました。
 現に、たたらリハビリテーション病院に従事している方々からは悲壮な様子は見受けられません。病院長のご講演もみんなで聞いておられましたが、そのときのリラックスした様子、そして、ご講演の中で触れられる日々のお仕事の様子からは、みなさんがお互いを深く信頼し、充実した時間を共有されているのが見て取れるようでした。
 死と向き合うこと、それによってよく生きること。哲学の世界で抽象的に語られるそれとは違う、具体的な人と人との関係から体感された大切な何か。そのかけらを受け取ったような、厳粛な思いに打たれました。

3 第2部 緩和ケア病棟見学
 第2部は、緩和ケア病棟見学でした。
 たたらリハビリテーション病院は、最上階である7階が緩和ケア病棟になっています。
 病棟全体が明るく温かい雰囲気で統一されていました。
 エレベーターを降りてすぐの談話室の広い窓からは若杉山、三郡山、宝満山を眺めることができるすばらしい展望が広がっています。晴れた日には山から朝日が昇ってくるのが見えるそうです。私たちが訪問したときは、お見舞いに来られたお孫さんとオセロに興じる方がおられました。
 病室は全て個室でプライバシーに配慮されています。
 また、それとは別に「こころの部屋」と呼ばれる部屋が設けられていて、一人で静かな時間を過ごしたい患者や家族が利用できるようになっています。
 家族用の控え室もあるので、家族が休憩や宿泊に利用することができます。
 それらの部屋が続く廊下を抜けると、広いホールがあり、ソファなどが置いてあってそこでもくつろぐことができるようになっていました。ホールにはピアノが設置されていて、音楽会等に利用されることもあるそうです。他にも、患者さんやボランティアの方が書いた絵や写真(あと、なぜかどなたかの自作の鎧兜も・・・)が飾られていて、華やかな空間になっていました。
 そのホールからは、広いルーフデッキに出ることができます。沢山の花が植えられており、小鳥が来るえさ場があり、メダカのいる水瓶があり、さらに野菜も栽培されていて、さまざまな自然に触れることができるようになっています。夏には流しそうめんをするなど、ここもイベント会場として利用されるそうです。
私達が見学にお邪魔した日は非常に天気のいい日で、ルーフデッキには太陽がさんさんと降り注いでいました。最上階にあるため周囲の眺望も開けていて、開放的な気分を味わうことができました。
 ここまで見てきて、見学者の方々からは「私も(緩和ケアを受けるときは)ここに入院したい!」との声が続出。それぐらい、温かみのある居心地のよい空間でした。

 その後、2階のリハビリテーションセンターを見学させていただきました。
 さすが「リハビリテーション病院」というだけあって、リハビリ器具は非常に豊富です。部屋も広々としていました。その中で、作業療法士や理学療法士の方の指導を受けながらリハビリに励んでいる方々がおられました。
 リハビリセンターの出入口には職員の方々の顔写真が貼ってありましたが、引率の看護師の方が笑いながら「患者さんから写真の顔が暗いって言われたので、わざわざ撮り直したんですよ」と紹介してくれました。患者さんと看護師さんが自由にものを言い合える関係ができているんだなあと感じました。

4 おわりに

 市民大学の一日は、いろいろなことを考え、学ぶことができた充実した一日でした。
 この経験は、きっと、私自身や、家族や友人が間近い死を迎えるべき立場になったとき、考えるヒントを与えてくれるのではないかと思います。

(石井謙一)
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2014年05月09日

筑後医療事故電話相談110番


 九州・山口医療問題研究会福岡県弁護団では、2014年4月1日から筑後地区での相談を希望される方々のために、久留米市を中心に相談を受けることができる体勢をとることにしました(筑後相談窓口開設参照)。

 今回、筑後医療事故相談窓口設置を広く知っていただくために、下記要領で110番を行います。

当日は、弁護士が常時待機し、電話での相談受付に応じます。この電話受付では、事案の概要のみを伺い、詳細については、後日無料の面談相談を設定させていただきます。

ご自身やご家族の医療に関して、事故ではなかったのかという疑問をお持ちの方、一人で抱えずに弁護士に相談してみませんか。

 あなたの声が、医療を改善する一歩になるかもしれません。

  【実施要領】
   日  時:2014年5月17日(土) 午前10:00〜午後3:00
   電話番号:当日受付番号0942(36)2078
       ※当日のみ有効な番号です

(管理人)
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2014年01月09日

市民大学「ココロもカラダも支えるかんわケア〜人生最後まで自分らしく生き抜く」のご案内


 かんわケア、ホスピスケア、尊厳死、終末期の延命措置…、たとえば、がんの末期でもう幾ばくもないさいごの日々をどう過ごすのか。あるいは、高齢でさまざまな障碍が合併し、認知症も進んで、寝たきりになった状態で、口から食事を取れなくなったときに、胃ろうを設置するのか、心臓がはたらきを停止したら、心肺蘇生措置を行うのかどうか…。

 この超高齢化社会、そして今やたいていの人はがんで死亡することが予測される時代を迎えている中、私たちは、いずれ訪れる肉親の、そして自分の命の終わりについて、具体的に考えてみたことがあるでしょうか。

 私は、2年前に病院で親を看取りましたが、病院というところには、何と多くの高齢者が、また、死を間近に迎えた方々がおられるのだろうか、と、改めて実感し、いろんなことを考えさせられました。

 私たちの弁護団の一員でもあったある弁護士は、若くして治療不能の肺がんであることが判明し、医師からは余命は3ヶ月から半年だが抗がん剤で治療すれば半年から1年の延命が可能かもしれないと、化学療法を勧められたものの、セカンドオピニオンを求め、多くの関連文献を読んだ上で、色んな人の体験を聴き、積極的な治療は受けず、緩和的な治療だけを受けることを決めて、亡くなるまでの一年半を、自分らしく、思い切り楽しみながら生き抜きました。

 九州・山口医療問題研究会の創設者の一人で、2012年12月に亡くなった池永満弁護士も、悪性リンパ腫、胃がん、肝細胞がん、その肺転移という客観的には非常にきびしい病態の中、やはり活動が制限される抗がん剤治療は避けて、福岡県弁護士会の会長職を勤め上げ、ライフワークである患者の権利運動や原発差し止め訴訟、古い駅舎を残すための訴訟を通じた運動など、とても重い病を得た人とは思えない日々を生き生きと過ごし、大部の「新・患者の権利」という本を遺していきました。

 死、というものは、多くは病院の中で生じ、わたしたちは、身近にそれを経験することが少なくなっています。しかし、死は、私たちのすべてに、いずれ訪れるものです。

 その「死」をどう迎えるのか、むしろ、「死」を予め考えることを放棄してしまったら、どんな「死」を迎えることになるのか、私たちは、怖れず、避けることなく、今こそきちんと向かい合うべきではないでしょうか。自分の、そして家族の、それぞれの思いを確認し合い、最後まで、どうあるのが最も自分らしく、そして尊厳にかなうものなのか。

 今回の市民大学は、NPO法人患者の権利オンブズマンとの共催で開催するものです。2月8日土曜日の午後2時から、およそ2時間の予定です。患者の権利オンブズマンの会員や賛助団体の方は無料とさせていただきますが、一般の方は1000円の参加費をいただきます。

 会場のたたらリハビリテーション病院は、名前のとおり、立派なリハビリ施設をもっていて、機能回復訓練にも力を入れている病院ですが、最上階のもっとも日当たりのよいフロアに、緩和病棟が置かれています。

 患者本人や家族の希望を聴き、その人らしい最後の時間を、苦痛なく、穏やかに、あたたかい思いやりに囲まれて送る、そんな医療をめざして日々努力されています。今回は、平田済院長から1時間ほどかんわケアについての思いや実践についてお話しいただいた後、施設を案内していただき、緩和ケア病棟がどういうところか、またどんな理念でスタッフが活動されているのか、お話をうかがいます。

 滅多にない機会ですので、ぜひ多くの方にご参加いただきたいのですが、何しろ施設見学では対応できる人数に限りがあります。今回は、60名でしめ切らせていただき、院長のお話を聞いた後、30名ずつの2班に分かれて見学します。

 このブログ記事からチラシをダウンロードできますので、ご希望の方は事前にお申込をお願いします。

市民大学チラシ.pdf

(久保井 摂)
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2013年12月23日

医療事故110番おこないました


 去る12月7日(土)、医療事故情報センター(名古屋)の呼びかけにより、第12回医療事故全国一斉相談受付(全国51カ所*)が開催されました。
(*数カ所、7日以外の日程でおこなわれたところがあります)

 九州・山口医療問題研究会福岡県弁護団は、第1回から参加しておりますが、今回も12月7日(土)午前10時から午後3時まで、常時複数の弁護士が待機して、電話による相談受付を行いました。

 地元紙や市政だよりに載せていただきましたので、午前中は電話が大変混み合った状態となり、電話がかからなかった方もおられたかもしれません。

 当日は22件と多数の相談が寄せられました。

 電話相談受付は事件の概略をお聞きし、希望される方に面談相談のための受付カードをお送りするシステムですので、いずれも詳しい事情をおうかがいした訳ではありませんが、診療科は多岐にわたり、様々な相談が寄せられました。

 体に異常を感じて受診し、薬の処方を受けたが、症状がよくならないので後日違う病院を受診したところ、別の重い病気が判明し、後遺症が残ってしまったなど、深刻な相談が寄せられました。

 全国でこの日だけで300件以上の相談があっており、医療事故についてどこに相談したらよいかわからずに悩んでいる方は多くおられるのだと改めて思いました。

 なお当会では随時事務局による相談受付(面談相談のための受付カードをお送りします)をおこなっておりますので、当日電話できなかったという方も、面談相談ご希望の方は、どうぞ九州・山口医療問題研究会福岡県弁護団事務局(092-641-2009)へおかけください。

(安倍久美子)
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2013年01月17日

「死生学」入門講座においで下さい


市民大学 医療講座 死生学入門

2月23日(土)午後2時〜3時30分

講師 谷田憲俊さん
 (内科医、前山口大学医学部教授、日本ホスピス・在宅ケア研究会理事)

「日本人の死生観の変遷を振り返る」

参加費 500円(資料代含む)

会場 天神ビル11階会議室 福岡市中央区天神2−12−1



 「死生学」ということば、実は近頃よく耳にします。
 文字どおり、死と生をめぐる学問。

 最初に「死生学」という概念に出会ったのは、うんと昔、キューブラー・ロスの『死ぬ瞬間』がはやった頃でしょうか。

 日頃、医療事故の相談を受け、さまざまな事件を扱う中で、たびたび死と生について考えさせられます。特に末期がんや再発がんなどのように、死に向き合わざるを得ない事案の場合、依頼者の生と死と、真摯に向き合わざるを得ないのはもちろんのこと、死を見つめながら、最後までいのちの光を輝かせて生きるためには、どうあるべきか、ということを考えさせられてしまうのです。

 出会った事例の中には、ひとがそのひとらしく生きるために、関わった医療従事者がもっとうまくサポートできたのではないか、と、地団駄踏むような思いをするものがあります。正確な情報が提供されていないために、無用な焦りや、不安に駆られ、どうみても誤っているとしか思えない選択を強いられるひとがいます。

 どうして。
 どうして、ひとりの人が、その残された貴重な時の過ごし方を選択する、本当に大切な場面だというのに、往々にして、最善の選択をすることが困難になるのか。どうして、惑い、迷い、道を踏みあやまってしまうのか。

 そう考えた時、ふと、私たちが、生の成り立ち、死のあり方について、あまりにも無知であることが、その原因の一端ではないかと思えてきました。

 わたしたちは、必ず死を迎えます。遠い先か、ほんの目の前のことなのか、誰にも知ることはできません。けれど、必ず訪れ、私たちに終わりを告げる死。その死と生について、改めて向かい合い、じっくりと考えてみることが必要ではないか、そう思いました。

 そこで、昨年11月から3回にわたる『死生学講座』を企画しました。

 この企画はNPO法人患者の権利オンブズマン、医療事故防止・患者安全学会との共催になっています。第1回は、倫理学を専攻する作家の波多江伸子さんによる『笑う終活講座』。ともにがんで亡くなったご両親を看取り、自らも二度甲状腺がんを患った経験から、何人もの、死に直面したがん患者の伴走者として活動し、「がん・ばってん・元気隊」という患者サポート活動に従事されています。

 自分の父親が末期の胃がんと分かり、息を引き取るまでの日々を、まさに家族の視線から撮影した砂田麻美監督の第1回監督作品『エンディング・ノート』の予告編や、昨年10月に死亡した流通ジャーナリスト金子哲雄さんが、自分の葬儀に用意した挨拶文(11月には死の直前に書き上げた『僕の死に方 エンディングダイアリー500日』が出版されています)、周防正行監督の最新作『終の信託』など、取っつきやすい材料を示しての、分かりやすい、そしてそれぞれが自分の生活に引きつけて考えることのできる講座でした。参加されていた「終活」受講生(がん患者)の、「先生の講座を受けて、死ぬのがちょっと楽しみになってきました」という言葉がとても印象的でした。

 12月1日には、在宅緩和ケアの草分けのひとりである医師の二ノ坂保喜さんによる『死を見つめて生きる〜在宅ホスピスの現場から』。この道に進むきっかけとなった書籍との出会いや、長年にわたる臨床実践を通じてのさまざまな経験を踏まえて、具体的な症例を紹介しながら、在宅で最後を迎えることは誰にでも可能なはずだという思いを込めてお話しいただきました。

 そして、いよいよ第3回目、最後の講座が、2月23日土曜日午後2時、天神ビル11階の会議室で開催されます。内科医で山口大学医学部教授を務められた谷田憲俊さんによる『日本人の死生観の変遷を振り返る』。講座を締めくくるに相応しい、歴史的な経過を踏まえた、深い講座になりそうです。

 ぜひぜひ、多くの方に足を運んでいただきたいと思います。

 以下は、本入門講座のチラシの案内文です。昨年配布したものなので、東北大震災について「昨年」と表記されています。


 だれもがいつかは死を迎えます。
 昨年の東北大震災では、たくさんの方々が、いちどきに津波にのまれ、尊い命が奪われました。私たちは、想像を絶する数の死のしらせに身を震わせました。
 けれど、私たちに「死」の姿は見えているでしょうか。
 ひとが死にゆくとはどういう営みであり、やがて来る死を自分はどんな形で迎えたいのか。具体的にイメージできているでしょうか。
 ほとんどの人が病院で死を迎える時代ですが、一方では在宅での看取りを進める動きもあります。このところ、終末期医療について、法制化をめぐる議論も盛んになっています。
 死の在り方について、ちゃんと向き合って考えないということは、生についても正しく知らず、ひいては自分に対する医療の選択において、欠かすことのできない重要な要素を欠いているということにならないでしょうか。
 むずかしい、深刻な問題ですが、まずはみんなで死と生を考えてみようよ、そんな気楽なイメージで、「死生学」入門講座を企画しました。


(久保井摂)
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2012年04月14日

医療事故全国一斉相談受付のご報告

(ずいぶん古い話になってしまいましたが、昨年の一斉相談の報告です。)


 2011年11月26日、第11回医療研全国一斉相談受付を行いましたので、ご報告いたします。

 この相談受付は、医療事故被害者の相談先が乏しいという現状から、被害者に法律相談窓口を周知する必要性が大きいということで、名古屋の医療事故情報センターの呼びかけにより、1991年以降、全国で行われています。今年も全国50カ所で行われ、九州・山口医療問題研究会でも、過去10回と同様、各県弁護団事務局において電話での相談受付を行い、私自身も、福岡で相談受付を担当しました。

 相談受付は、11月26日(土)午前10時〜午後3時まで行われ、まずは電話で事案の概要を聴き取り、希望者には後日、弁護士による面談相談(無料)実施します。

 相談受付は、全部で11名の弁護士が、午前・午後に分かれて担当しました。午前中は、なかなか電話も鳴り響かなかったのですが、テレビ局の取材が入り、お昼のニュースで流れた途端、4つあった回線が全て埋まる時間もあるほど、電話が殺到しました。

 結局、福岡での相談受付は全体で28件となり、名古屋、東京(2団体合計)に次いで3番目という電話の多さでした。

 内訳としては、産婦人科3件、外科6件、整形外科3件、脳神経外科2件、美容外科1件、内科2件、眼科4件、精神科1件、歯科3件、その他2件(複数の方あり)です。被害としては、死亡が3件、脳障害が2件、脳障害以外の後遺症11件、その他8件でした。

 また、電話受付を行った全体のうち、後日の面談相談を希望され調査カード送付を行った件数は17件となりました。

 どのような点に不満を感じたかという点については、医療事故という被害を受けたことそのものに対するものが一番多かった(15件)のですが、事前の説明、事故の説明に不満を感じているケースも、それぞれ半数程度ありました。好ましくない事態(過失の有無にかかわらず)が発生した場合に、事前・事後の説明・対応に誠意を感じることができなかったことが、医療事故の被害を拡大させていると感じました。

 実は、私自身は、担当している医療過誤事件は、すでに訴訟提起段階から関わらせていただいているものばかりで、医療相談(後日の相談に向けた受付とはいえ)を受けるのは初めてでした。ご自身が、あるいは身近なご家族が、思いがけず医療事故に遭われ、何か一つ変わればこのような結果ではなかったのではないかという納得できない思いや、自分にもっとできることがあったのではとご自身を責められるなど、複雑な思いを抱えていることが、伝わってきました。

 調査カードを希望された方には、すでに調査カードの送付がなされています。今後、医療過誤事件の経験のある弁護士が、面談で無料相談を行い、詳細なお話を伺った上で、今後どのように進めていくか、相談者と決めて行くことになります。

 医療過誤の被害に遭われた方の相談窓口は、まだまだ少ないのが現状です。今後弁護士との面談相談を受ける方だけでなく、今回調査カードを希望されなかった方にとっても、今回の電話相談受付が、被害に遭われた思いを語ることのできる場所になれていればと願っています。

(原田純子)
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2011年10月19日

「第54回日弁連人権擁護大会プレシンポジウムin福岡 『患者の権利の法制化を目指して』―幸せを支えることのできる医療のあり方を考える―」に参加して

1.はじめに

 2011年9月3日(土)、福岡市東区にあるガスホールにて、第54回日弁連人権擁護大会プレシンポジウムin福岡「患者の権利の法制化を目指して」―幸せを支えることのできる医療のあり方を考える―が行われました。

 実行委員会の委員の一人として、本プレシンポのご報告をさせていただきます。


2.プレシンポの内容

 プレシンポは2部構成で行われました。前半は実行委員会が行った福岡県における医療実態調査報告、後半は、なぜ患者の権利を法制化する必要があるのか等をテーマとするパネルディスカッションが行われ、前半に報告された実態をふまえた議論がなされました。

 パネリストは、薬害肝炎全国原告団代表の山口美智子さん、九州大学名誉教授でハンセン病問題に関する検証会議の提言に基づく再発防止検討会座長代理を務められた内田博文教授、福岡県医師会副会長の野田健一医師、そして、実行委員の一人でもあり、患者の権利法をつくる会事務局長の小林洋二弁護士の4人で、白熱した議論をしていただきました。


3.調査報告

 前半の実態調査報告では、救急、周産期、小児、過疎地域、貧困、外国人、被拘禁者という7つの分野ごとに、実行委員会委員が調査した内容を簡単に報告しました。なお、調査は、自治体や医療機関への聴き取り、統計結果の分析などによって行われ、それぞれの分野の詳しい調査結果を1冊の報告書としてまとめ、当日配布しています。

 まず、救急では、三段階の救急医療体制が整備されていること、福岡県の救急搬送における平均搬送所要時間が全国最短で、統計上は高水準であることの報告がなされました。一方で、現場では二次、三次救急医療機関への振り分けの問題や、救急医療機関や医療従事者の不足・偏在といった問題も指摘されており、より充実した救急医療体制の確立に向けた継続的な取り組みの必要性も明らかになりました。

 周産期では、今年度からNICUが増床され母体搬送の不応需がかなり減少するなど、福岡都市圏・北九州都市圏ともに、周産期医療体制が概ね整っていることが明らかになりました。もっとも、開業医の高齢化の問題もあり、新人医師確保のためには、医師が人間らしく働きやすい体制を整える必要があることも指摘されました。

 小児では、チャイルドライフスペシャリストという専門家の配置や院内学級の設置など、子どもである患者のインフォームドコンセントや発達・学習権をサポートする先進的な取り組みが始まっている一方、小児科の需要拡大に対し医師数が不足し、勤務状況がかなり過酷となっていること、医師数の増員が必要不可欠であることが報告されました。

 過疎地域では、無医地区に公立の診療所を設立して自治医大出身の医師を県職員として派遣するという対応でかなりの成果を上げており、他県と比較して福岡県は恵まれた環境にある一方で、自治体の財政悪化で無料送迎バスが廃止され、引継ぎのための医師二人体制が採れないなどの問題もあり、それらの問題の解消は自治体レベルでは困難で、財政的な裏付けを含む国の積極的な関与が必要であるとの報告がなされました。

 私が担当した貧困では、国民健康保険料の滞納によって発行される非正規保険証(短期保険証・資格証明書)の所持者が受診を我慢し、重症化、最悪の場合は死亡する事例が多くなっているという問題が全国的に生じていること、福岡市では、全国の政令都市の中でもトップクラスに保険料が高く、非正規保険証の発行数も多いという危機的状況にあること、保険の種類や保険証の有無にかかわらず、窓口の自己負担が支払えず、受診できない人も数多くいることの報告をさせていただきました。深刻な事態にあることを会場の皆さんにも伝えるべく、聴き取りをさせていただいた千鳥橋病院のメディカルソーシャルワーカーである荒木さんにお越しいただき、「当事者の声」として、実際の事例などについてご報告いただきました。

 外国人では、無保険外国人は原則として全額自己負担となるため、実質的に「国籍」や「経済的負担能力」によって医療を受けることができていないという、貧困分野と重なる問題提起と、福岡ではまだ実施されていない外国人未払い医療費補填事業等の紹介がありました。さらに、医療通訳の問題については、民間の取り組みはあるが、外国人患者の知る権利や自己決定権の実現に必要不可欠であるため、公的な整備が必要であることが指摘され、小児の問題との共通点も見出せました。

 最後に、被拘禁者については、福岡県弁護士会の人権救済申し立てや矯正施設からの聴き取りによって、常勤医師の不足や外部医療機関との提携の不十分さに加え投薬拒否、診察・治療拒否など医療を受ける権利自体が保障されていない現状と、社会的には広く認められてきたインフォームドコンセントやカルテ開示請求権がいまだ認められていないという深刻な問題があることが報告されました。

 これら7分野の実態調査報告により、住んでいる地域や国籍、経済的負担能力の有無などで医療を受ける権利自体が脅かされている実態があること、すべての人に等しく安全な医療を提供するためには、医師数の増員や医師の勤務体系の改善など医療機関の疲弊を改善する対策が必要であること、子どもや外国人など自己決定をするための適切なサポートが必要な人にとって、サポートが十分でない現状があることが明らかになりました。


4.パネルディスカッション

 後半のパネルディスカッションでは、まず、それぞれのパネリストが患者の権利の法制化についての考えを述べるところから始まりました。

 薬害肝炎訴訟の原告として、恒久対策や真相究明・再発防止の取り組みをされてきた山口さんが、自らの「患者」としての経験から、積極的に医療に参加していくことの大切さと、それを可能にする体制の必要性について語られました。

 そして、内田教授からは、ハンセン病問題に関する検証会議の提言に基づく再発防止検討会の「医療基本法の法制化の提言」についてのご説明がありました。日本では、患者の権利や医療の基本原則に関する規定が、施設法にすぎない医療法などに無理に挿入されているためか、いろんな場面で矛盾が生じており、自主的な倫理規定だけでは解決できない問題が多くあることから、医療基本法の法制化が必要であること、新たな医療基本法の法制化によって、患者と医療従事者との相互不信を相互信頼の関係に変えることが喫緊の課題であることを語っていただきました。

 これに対し、野田医師から、医師は自ら職業倫理について考え、よりよい医療を目指して日々実践しており、あえて患者の権利を法制化する必要はないのではないか、過酷な勤務態勢で頑張っている医師に対し、更なる負担を課すことになるのではないか、モンスターペイシェントを多く生み出すのではないか等の懸念があるというお話しがありました。

 それを受けて、小林弁護士が、患者の権利を法制化において、医療提供者は患者と対立するものではなく、患者が国・地方公共団体に対して基本的人権としての患者の権利を求めていくのを、患者の権利を実現するためのサポーターとして支え、患者と一緒になって国に対して患者の権利を守ることのできる医療体制の確立を求めていく立場にあるのだという説明をされました。

 その後の議論では、野田医師が指摘された法制化の懸念を主なテーマに、コーディネーターの黒木弁護士の司会で、前半の実態調査報告の内容もふまえながら意見交換がなされました。そこでは、医師の自助努力ではどうしようもない問題(特に貧困など)もあること、医師が人間らしく働きやすい環境を整えることが患者の権利の実現に不可欠であり、そのための方策を国や自治体に求めることができるよう、国のあるべき医療について患者の権利を軸に明記した法律が必要であることなど、法制化の必要性について十分に納得できる議論が展開されたと思います。

 とても有意義なプレシンポでした。


5.おわりに

 実行委員会の一員として準備に携わり、当日の報告や議論を聞いていると、最初は漠然としていた「患者の権利の法制化」の内容が自分の中で段々明確になり(まだまだ不十分なのでしょうが)、その必要性についても自分のこととして実感することができ、大変勉強になりました。その後、高松で行われた人権大会の本シンポジウムにも参加したのですが、献身的な医師が不必要な隔離政策に関わり、未曾有の人権侵害を引き起こしたハンセン病問題の教訓を生かし、患者の権利を法制化する必要性がより明確に理解できました。

 個々の医療事件の処理だけでなく、よりよい医療になるように、今後は、微力ながら患者の権利の法制化に向けた活動にも参加していきたいと思います。

(緒方枝里)
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2011年10月13日

医療事故全国一斉相談受付のお知らせ

〜あなたの経験、あなたの思い、あなたの声をうけとめます〜

 来る11月26日(土)午前10時から午後3時まで、全国の医療事故相談窓口で一斉に、電話による、医療事故に関する相談受付が行われます。
 この企画は、名古屋にある医療事故情報センターの呼びかけで2年に1回実施されているもので、今回が11回目となります。

 自分や身内の医療に関して、事故かな?と感じた経験を持っている人は、結構たくさんいらっしゃると思います。けれど、ならば法律相談に出かけるかというと、ためらってしまう方が多いのではないでしょうか。
 医療事故一斉相談受付は、そんな、相談してみたい気持ちを胸に秘めながら、一歩踏み出せないでいる方々にも、ちょっと電話をかけてみませんか、と呼びかけるものです。

 病院で入院中に、避けうる医療事故によって命を落とす人は、交通事故で亡くなる人よりも多い、と、アメリカのある統計は報告しています。
 医療事故を、悪しきもの、封印すべき汚名として、事実を伏せる時代は過去のものになりつつあります。ひとつの医療事故には、学ぶべき多くの教訓が含まれています。事故事例を集積し、原因を分析して、未来の医療における患者の安全を守ろうという動きが、すでにはじまっています。このブログでも何度かご紹介しているとおりです。

 事故ではないか、という思い、あの結果は避け得たのではないかという悔いは、声を上げてこそ、はじめて、未来の医療を栄養するものとなります。

 九州・山口医療問題研究会福岡県弁護団でも、当日、全国と同じ時間帯に、一斉相談受付を行います。5名以上の弁護士が待機し、電話でお話をお聞きします。
 この日は、あくまでも相談の「受付」ですから、事案の詳しい内容はお聴きしません。けれど、当日全国で受け付けられた事例の件数や、科目、事案の特徴などを数値化し、マスコミに発表するために、簡単に事情をお尋ねします。実際に面談相談まで希望されるかどうか、相談者にご判断いただく程度の事情はお聞きすることになります。
 正式な相談は、ご希望があれば、面談でお受けします。後日、弁護士2名が1時間無料で相談を担当します。その際は、相談会場までおいでいただくことになります。

 当日は、福岡県弁護団の通常の電話番号とは異なる、当日のみの番号で受け付けます。当日の番号については、後ほど改めて、ここに掲載させていただきますので、お待ちください。
気がかりな事情を抱えておられるお知り合いにも、声をかけていただければ幸いです。

(管理人)
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2010年08月15日

医療ゼミナールに参加しました!!

※当弁護団では、定期的に医師をお招きして勉強会を開催しています。その感想を、新人弁護士が書いてくれました。


 2010年8月4日、第9回医療ゼミナールに参加しました。

 今回のテーマは「小児科」で、小児科医として長年ご活躍されている小児科医のお話を聞くことができました。

 まず、小児科の特徴として、守備範囲の広範性、専門性についてのお話しがありました。
 大人であれば自分の症状に応じて、内科や消化器科などを選んで受診しますが、「小児科」には、いろんな症状、疾患をもつ子どもたちが集まってきますので、小児科医には、内科医以上の広い知識と基礎力が必要とされるそうです。

 一方、「子どもは大人のミニチュアではない」ため、大人とは違う小児の特徴を意識した小児医療についての専門的な知識が要求されるとのことでした。
 たとえば、子どもの水分量の多さ、体全体に占める頭部の割合の大きさは、ぷくぷくした赤ちゃんのほっぺたやバランスのとれない歩き方を想像すれば一目瞭然ですが、だから脱水症状を起こしやすかったり、頭部からの出血が重症化しやすいことなどを常に意識して診察・治療に望まなければならないそうです。私たちが日常生活の中で子どもと接するときにも、子どもの特徴について知っていると大変有益ですので、いいお話しを聞くことができたと思います。

 さらに、小児科医には、その子どもの置かれた家庭環境、社会的な背景も含めて、新生児期から中学校卒業程度までの幅広い年代の子どもを総合的に診ることが必要とされるとのお話を聞きました。小児科医の大変さを思い知らされると同時に、弁護士も、依頼者の訴えをただ受け止めるだけでなく、その方の背景事情や性別や年齢も考慮して受け止めなければならないと思いました。

 次に、小児医療に際して必要とされる技術につき、具体的にご説明がありました。日々子どもを見ている親の直感が非常に大事であること、家族との信頼関係を築くことの大切さ、子どもの治療(特に侵襲性のある治療)に際しては、その子どもの年齢、発達状況に応じ、分かりやすい言葉で説明をすることの必要性、診察室に入ってきた瞬間から、子どもの様子を観察することが大事であることなど、日々子どもと接している医師ならではの非常に具体的で力のこもったお言葉に感じました。

 そして、1人で診察して、知識不足や経験不足から、間違った思い込みをしてしまい、修正がきかないまま進んでいくことの危険性を話されました。
 弁護士の世界でも、「1人で悩むな。1人で考えるな。誰かに話せ。」ということをよく言われますので、身につまされる思いで拝聴しました。

 今回は、小児科のことについて非常に有意義なお話しをお聞きすると共に、医師と弁護士に共通して求められる点に気づかされ、あらためて、日々の業務を振り返る(特に、知識不足というところは反省)いい機会となりました。

(新人弁護士)
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2010年07月09日

九州・山口医療問題研究会30周年シンポジウム報告

 去る7月3日(土)、福岡国際会議場において『九州・山口医療問題研究会30周年シンポジウム〜医療ADRを考える〜』が開催されました。


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1.医療ADRとは?

 医療事故紛争に関わる方々の中でも、必ずしもなじみのない医療ADRという存在について、私の備忘をかねて記載しておきます。

 医療ADRとは、その名のとおりADR(Alternative Dispute Resolution)(裁判によらない紛争解決)の医療事故紛争版です。

 3人の仲裁人(裁判官経験等のある弁護士・患者側代理人の経験豊富な弁護士・医療側代理人の経験豊富な弁護士)の下で、当事者間の対話により、医療事故紛争をスピーディーかつ柔軟に解決しようとするもので、福岡においても平成21年10月1日に開設されました。

 医療事故訴訟の抱える、@とかく複雑で長期化しやすい、A損害賠償請求権の有無が審判対象となり真相究明や謝罪を求める当事者の意思に必ずしも合致しない、B両当事者対立構造の下、医療側と患者側の信頼関係が決定的に破壊される、といった問題を打開するものとして期待されていましたが、蓋を開けてみると、昨年度22件の申立てのうち、半数以上がそもそも相手方が出席しない「不応諾」で終了しており、和解に至ったものはわずか2件で、有効に活用されているとはとてもいえない状況です。
 そこで、現状の問題点を認識し、その解決に向けた道筋を考えるため、今回のシンポジウムが開催されました。


2.シンポジウムについて

(1)基調報告

 まず、基調報告として、東京三弁護士会が開設する医療ADRにおいて仲裁・あっせん人を務める安東宏三弁護士より、東京における医療ADRの現状が報告されました。

東京では、2007年9月の発足から2009年4月までの間に、72件の申立てがなされていますが、そのうち45件が応諾され、その32.8%にあたる19件について和解が成立しています。

 東京の医療ADR成功の背景には、医療側仲裁人及び医療側代理人の存在があり、彼らが医療ADRは医療事故紛争の解決のために有用であるとの認識を共有していることが、医療機関を手続に参加させる動力になっているとのことでした。

(2)パネルディスカッション

 続いて、医療研の久保井摂弁護士をコーディネーターとして、安東弁護士、福岡で医療ADR主任仲裁人を務める簑田孝行弁護士、福岡県医師会常任理事の大木實医師、そして医療ADRを用いて和解に至った利用経験者の方によるパネルディスカッションが行われました。

 簑田弁護士は、「説明の場なら医師会の医事調停がある」ということで不応諾となってしまった経験があること、医師会との事前の意思疎通不足を感じしたことなどを語られました。

 大木医師からは、現在の医療ADRの問題点として、@診療時間帯である平日昼間に医療施設から離れた場所に出向くのは個人開業医には負担が大きいこと、A医師会が作り上げてきた医事調停手続との齟齬、B既に十分な説明を行ったにもかかわらず納得がいかないとして再度の説明を求められることの負担などがあり、何より、医師は弁護士に対して一種トラウマがあり、弁護士のみで構成される手続に乗れば、患者に対する救済ありきの偏った判断がなされるのではないかというおそれを抱いていることなどが指摘されました。 

 医療ADR利用経験者の方からは、患者は必ずしも訴訟などという大げさなことは考えておらず、医師に患者に向き合って対応して欲しいと思っていること、自分が受けた医療について不信と不満があったが、医師に説明を求めているうちに自分がクレーマーなのではないかという思いに駆られたこと、医療ADRという手続に乗ったことで、「医療」というフィールドの中でなく、「社会」という広いフィールドの中で問題が認識され、自身の主張がおかしいわけではないということが確認され安心した経験などが語られました。


3.シンポジウムに参加して

 今回、医療ADR側(弁護士側)、医療側、患者側の三者がディスカッションを行ったことは、非常に有意義であったと感じました。
 弁護士側は、医師会の医事調停について、医師会内部で行われるもので中立性・透明性に問題があると考えていましたが、医療側から見れば、医療ADRも弁護士会が作ったよく分からない制度なのであって、医療事故紛争解決に役立つ中立な手続であるという認識を共有しないままに、負担をおして参加するよう求めたのでは不応諾も無理もないと思いました。

 他方で、医療側も、医療ADR利用経験者の方のお話を聞くことで、医事調停における説明も医療事故被害者にとってみれば「医療」というフィールドからの説明でしかなく、一定の限界があるということを認識されたのではないかと思います。

 以上のように、改善に向けての問題点が認識されたわけですが、医療ADR利用経験者の方からは、今後、制度の構築・運営に力点が置かれ、実際の対話の努力がおろそかになることへの危惧も示されていました。

 医療ADRの活性化に向けて、やらなければならないことは数多くありますが、それらにかまけるあまり最も大事なことをおろそかにしては元も子もありません。大木医師がパネルディスカッションの中で、「患者にとっては一生に一度のことが、自分達にとってはいつものことで、そこで感覚が摩耗してしまうことが一番怖い」という内容のお話をされていましたが、これは医療に限った話ではないと思います。医療ADRも、当事者にとって一生に一度の問題である医療事故紛争について、機械的に処理するのではなく、当事者と共に考え、より良い解決に導いていく制度であるべきことを忘れないようにしなければならないと思いました。

 それを忘れそうになったとき、この日のことを思い返そうと思います。

(管理人)
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2010年06月23日

九州・山口医療問題研究会30周年記念シンポジウム 『医療ADRを考える』 開催のご案内

 九州・山口医療問題研究会は、医療事故被害の救済と再発防止、医療における人権の確保と医療制度の改善を目的として活動を続けてきて、本年をもって結成30年を迎えることとなりました。

 そこで、結成30周年を記念し、標記シンポジウムを開催致します。


 これまで、医療紛争の解決は、主として民事裁判に委ねられてきました。
 しかし、民事裁判は、患者側と医療側に深刻な対立を生み、必ずしも当事者の思いに沿った柔軟な解決ができず、解決までに費用や時間がかかってしまう現状があります。

 そこで、早期の柔軟な紛争解決を目指して、対話型の紛争解決手段である医療ADR(裁判外の話し合いによる紛争解決システム)が創設されました。
 この医療ADRは、患者側と医療側との信頼関係を維持しつつ紛争を解決できる有効な手段として期待されるものですが、その認知度は高くなく、また使いやすい制度にするためにはクリアすべき課題が数多く存在します。

 本シンポジウムでは、このような医療ADRの活性化を図るため、現状の問題点とその解決に向けた道筋について、患者、医師、代理人弁護士及び医療ADR仲裁人の方々が熱い議論を交わします。


 当研究会は、医療をとりまく環境の改善を願う全ての方々のご協力のもと、現在まで活動を継続していくことができました。
 その節目となる本シンポジウムには、是非多くの方々のご参加をいただきたいと考えております。皆様のご参加を心よりお待ちしております。

日 時  2010年7月3日(土) 午後2時より
場 所  福岡国際会議場(福岡県福岡市博多区石城町2番1号)
参加費  無料
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2009年12月01日

第10回医療事故全国一斉相談受付のご報告

 11月28日(土)、第10回医療事故全国一斉相談受付がおこなわれました。
 医療事故情報センター(名古屋)の呼びかけにより、全国50カ所に電話受付窓口を設置し、それぞれ地元の弁護士が電話で概要を聴取しました。

 私たち九州・山口医療問題研究会福岡県弁護団も、同日10時〜15時、電話による相談受付を行いました。
 今回は、事前に新聞各紙に報じていただき、当日テレビニュースで放映いただいたこともあり、福岡では41件というたくさんの電話が寄せられました。

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 新聞やテレビで報じていただくと多くの電話が寄せられるということは、やはり医療事故に遭ったのではないかと考えておられる患者、家族の方々が相談窓口を知らずに悩んでおられるということだと思います。
 これからもこのような一斉相談受付を行う必要性を改めて感じました。
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2009年11月22日

医療事故全国一斉相談受付のご案内

 九州・山口医療問題研究会のような医療問題と取り扱う弁護士の会は、全国各地に存在します。それらの会は、毎年、医療事故情報センター(名古屋)の呼び掛けにより、医療事故に関する全国一斉の電話相談受付を行っています。

 今年も、第10回となる医療事故全国一斉相談受付を、全国50カ所で開催します。
 九州・山口医療問題研究会福岡県弁護団でも、以下のとおりの日時・電話番号で、常時弁護士が待機して、電話(6回線)による相談受付を行います。

  日時:11月28日(土)午前10時から午後3時
  電話番号:092−641−2007 

 医療の安全に対する信頼を揺るがせ大きな社会問題を引き起こした横浜市立大学病院での患者の取り違え事件や都立広尾病院の消毒薬誤注射事件から10年、医療をめぐる情勢は変わろうとしています。医療事故については、死亡事案について原因究明調査を行っているモデル事業を、新たな法律に基づく死因究明制度として立ち上げるため、厚生労働省が「大綱案」を出し、全国の医療被害者をはじめ多くの市民が中立な第三者機関の設立を待ち望んでいるところですが、政権交代なった今、先が見えない状況です。
 今回の一斉相談受付は、改めて医療事故が身近な問題であることを明らかにすると共に、その情報を広く共有して、安全な医療を築くための一助とすることを目的としています。
 医療事故に遭ったかも知れないとお悩みの方は、電話受付ですので、お気軽にご相談下さい。

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