2012年07月30日
医療に翼を 〜和白病院訪問記〜
先日、和白病院の見学に行ってきました。
その際の感想を、九州合同法律事務所で実務修習中の金納修習生が書いてくれましたので、以下ご紹介します。
1 はじめに
はじめまして、司法修習生の金納達昭と申します。今年の5月31日から7月30日まで、九州合同法律事務所で弁護修習をさせて頂いています。
7月23日、医療研の弁護団の先生方と一緒に、福岡市東区の福岡和白病院において、医療搬送用ヘリコプターの見学をし、同病院の副院長兼救急部長・救急搬送システム部部長である冨岡譲二先生のお話を聞かせてもらう機会があったので、その報告をさせて頂きます。
2 医療搬送用ヘリコプターの見学
福岡和白病院に着いてまず、医療搬送用ヘリコプターの飛行訓練が行われるということで、その現場を見学させて頂きました。
福岡和白病院の医療搬送用ヘリコプターは、名称を「ホワイトバード」といい、100%民間運営の医療搬送用ヘリコプターです。行政である国や地方自治体が運営するドクターヘリや消防防災ヘリと比べると、離発着場はひとつひとつ許可が必要で事故現場に急行するといった使い方は出来ませんが、行政区域に縛られない搬送や離島・僻地への下り搬送が可能という、ドクターヘリや消防防災ヘリにはないメリットがあるうえ、患者に搬送費の負担はないそうです。
今回訓練に使用されていたのは、「ホワイトバード」ではない代替機でしたが、「ホワイトバード」も同型で、軽量級のコンパクトなタイプのものだということでした。機体の中にも入らせてもらったのですが、患者や医者を含めた合計6人が乗ることができるよう、空間を機能的に使った構造になっていました。
そして、実際に、ヘリコプターの離陸を見てみると、すごい風が吹いて離陸したと思ったら、あっという間に小さくなっており、大変なスピードだなと感じました。実際、福岡和白病院から対馬まで約33分で到着するらしく、離島や僻地に住まわれている方々にとっては、医療機関にアクセスする大変有効なオプションであると思います。
3 冨岡先生のお話
その後、冨岡先生に福岡和白病院内を案内して頂いた後、スライドを交えて、冨岡先生の経歴や、福岡和白病院が医療搬送用ヘリコプターを運営することになった経緯、そして冨岡先生が弁護側証人をつとめた押尾学の裁判についてのお話を聞かせて頂きました。
冨岡先生は、これまでに海外での被災地支援など様々な活動を行っており、また医療搬送用ヘリコプターの話を持ちかけられてからわずか9ヶ月間で運営を開始したそうで、とてもフットワークが軽く行動力に長けた方なのだなという印象を抱きました。
また、冨岡先生は、世間からバッシングされるリスクを冒して、あえて押尾学の裁判で証言をしたのは、被害者の方の救命可能性に関して医学的に誤った裁判例が作られるのは、今後の医療現場のために良くないとの思いからであるとお話しされました。個人的な損得を超え、医師としての職業的な倫理観に従うという行為は、とても勇気のいることだと強く感じました。
4 終わりに
その後、病院の近くにある冨岡先生のなじみの中華料理屋で食事をしながら、いろいろなお話を聞かせて頂き、とても楽しい時間を過ごすことができました。
冨岡先生と半日お話しして、冨岡先生は、とても接しやすいフランクな人柄でありながら、医師としての倫理観持ち、それを貫く強さを持った方だなと思いました。
世間からバッシングされるかもしれない場にあえて出ること、誰もやらない新しい事業を始
めること、どれをなすにもとても力が必要だと思います。
患者側の弁護活動を行う医療研の先生方もそうですが、それぞれ職業にプラドをもってやるべきこと貫くことは、良い社会を構成していくためにとても大切なことだと思います。
そして、そのような矜持を持って活動されている方は、人間的にも魅力のある方だなと感じました。
(管理人)
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