(ずいぶん古い話になってしまいましたが、昨年の一斉相談の報告です。)
2011年11月26日、第11回医療研全国一斉相談受付を行いましたので、ご報告いたします。
この相談受付は、医療事故被害者の相談先が乏しいという現状から、被害者に法律相談窓口を周知する必要性が大きいということで、名古屋の医療事故情報センターの呼びかけにより、1991年以降、全国で行われています。今年も全国50カ所で行われ、九州・山口医療問題研究会でも、過去10回と同様、各県弁護団事務局において電話での相談受付を行い、私自身も、福岡で相談受付を担当しました。
相談受付は、11月26日(土)午前10時〜午後3時まで行われ、まずは電話で事案の概要を聴き取り、希望者には後日、弁護士による面談相談(無料)実施します。
相談受付は、全部で11名の弁護士が、午前・午後に分かれて担当しました。午前中は、なかなか電話も鳴り響かなかったのですが、テレビ局の取材が入り、お昼のニュースで流れた途端、4つあった回線が全て埋まる時間もあるほど、電話が殺到しました。
結局、福岡での相談受付は全体で28件となり、名古屋、東京(2団体合計)に次いで3番目という電話の多さでした。
内訳としては、産婦人科3件、外科6件、整形外科3件、脳神経外科2件、美容外科1件、内科2件、眼科4件、精神科1件、歯科3件、その他2件(複数の方あり)です。被害としては、死亡が3件、脳障害が2件、脳障害以外の後遺症11件、その他8件でした。
また、電話受付を行った全体のうち、後日の面談相談を希望され調査カード送付を行った件数は17件となりました。
どのような点に不満を感じたかという点については、医療事故という被害を受けたことそのものに対するものが一番多かった(15件)のですが、事前の説明、事故の説明に不満を感じているケースも、それぞれ半数程度ありました。好ましくない事態(過失の有無にかかわらず)が発生した場合に、事前・事後の説明・対応に誠意を感じることができなかったことが、医療事故の被害を拡大させていると感じました。
実は、私自身は、担当している医療過誤事件は、すでに訴訟提起段階から関わらせていただいているものばかりで、医療相談(後日の相談に向けた受付とはいえ)を受けるのは初めてでした。ご自身が、あるいは身近なご家族が、思いがけず医療事故に遭われ、何か一つ変わればこのような結果ではなかったのではないかという納得できない思いや、自分にもっとできることがあったのではとご自身を責められるなど、複雑な思いを抱えていることが、伝わってきました。
調査カードを希望された方には、すでに調査カードの送付がなされています。今後、医療過誤事件の経験のある弁護士が、面談で無料相談を行い、詳細なお話を伺った上で、今後どのように進めていくか、相談者と決めて行くことになります。
医療過誤の被害に遭われた方の相談窓口は、まだまだ少ないのが現状です。今後弁護士との面談相談を受ける方だけでなく、今回調査カードを希望されなかった方にとっても、今回の電話相談受付が、被害に遭われた思いを語ることのできる場所になれていればと願っています。
(原田純子)
2012年04月14日
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