2010年05月22日
医事用語のいろは 5
{ほ}ポリペクトミー(Polypectomy)
ポリペクトミーとは、一般に、「高周波電流を用いて、ポリープの基部を焼しゃくし切断する手技」。消化管内部を内視鏡で眺めながら、ポリープを探し出して焼ききる。ほとんどのポリープを焼ききれるので、逆に切りすぎもあり得る。研修医に初めての経験としてさせることも。切り取ったポリープは組織検査に出して、癌かどうかや、その浸潤の有無を鑑別する。浸潤例には更に管切除をする。多発性の疾患の場合はなお定期的に観察して再発のないことの確認をしなければならない。合併症として出血と消化管穿孔が圧倒的に多い。
こんな事件がある。
ポリペクトミーによって穿孔を起こし、そのまま放置して腹膜炎を発症し、腸管切除術を余儀なくされた。
ポリペクトミーのあとは痛みがある。患者は穿孔ゆえに痛みを感じ訴えるが、医療者は術後の痛みと思い込む。そのうちたまらなくなる。ちょうど夜間。鎮痛剤を与えて様子を見る。血圧、脈拍は異常がない。だが、その後の測定は怠る。
朝になりショック状態。触診、画像、バイタルサインなどを確認し、循環ショックをメイロンで補正しながら緊急開腹手術。
腹水の混濁、腹腔内の広汎な感染、ショックからの建て直しができず、死亡。
多くは無理な切除や内視鏡操作の誤りが出血や穿孔をもたらす。ただ、ポリペクトミーの手技をいかに上手にしても、慎重のうえに慎重を重ねて内視鏡操作をしても、傷つけることはあるし、穿孔に気付かないこともある。術後の観察、とりわけ痛みが持続するときの、出血傾向の把握、あるいは穿孔を疑っての管理が死命を決する。
{一口メモ}ポリペクは終わった後に腹膜炎
(八尋光秀)
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